【特別講座1】俳優の仕事とは?

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演技について書いていきます。

 

突然ですが、「俳優の仕事」とはなんでしょうか?

 

色々な答えが出てくるかと思いますが、

ひとまずは「他人を演じること」としましょう。

 

まず、作品に登場する人物が「100%自分自身」ということはほとんどあり得ないでしょう。

なので、俳優は、自分とは違う人間を演じなければいけません。

 

しかしこのように言うと、

「俳優の仕事は100%他人になることだ」と考える人もいると思います。

 

しかし、ロシアの演出家、スタニスラフスキーは、このように信じる人がいれば、それは病気だから精神科の世話になった方がいい、と言い放ちます。

 

私たちは、100%他人になることなどできません。

それは例えば、あなたが食べているものを、私が味わうことができないの同じです。

 

私たちは、自分の身体があって、自分の声があります。

また、舞台上でなにかを感じたり判断するとき、

それはまさしく舞台上にいる自分自身が味わっていることです。

 

つまり、どこまでいっても、

私たちは結局、自分自身です。

 

 

しかし、ここで問題が起こります。

 

自分自身なのだとしたら、

どうやって他人を演じるのでしょうか?

 

 

スタニスラフスキーは、

優れた俳優は、完全な人間に近く振る舞うものだ、と言います。

 

つまりそれは、私たちは生活で行っている行動やプロセスを、

そのまま舞台上でも行うことができるということです。

 

私たちは日常生活でどのように振る舞っているのか?

 

それを学んで役の創造にあたるということです。

 

役の人物の行動が、

私たちの生活と通じるようになったら、

その役は「人間」になった、と言えるのです。

 

 

「私たちは、日常でどのような行動をとるのか?」

 

 

しかし疑問に思う人もいると思います。

 

「私たちの日常のことなら、私たちはすでに知っているはずです。なぜ、いちいち学ぶ必要があるんですか?」

 

これはもっともな質問にきこえます。

 

しかし、スタニスラフスキーは、

「私たちの行動の90%は無意識だ」と言います。

 

例えば、あなたは歩くとき、

「まず右足を出して、次に左足を出して、そのつぎは右足を……」

と頭で考えないですよね。

 

このように、人間は全ての行動を意識しているわけではなく、

それどころか、行動の10%しか意識していないことになります。

 

この無意識の行動に一度目を向けてみて、

私たちは普段なにをしているのか、

それを一度確認することで、舞台上でもその行動を行えるようになるのです。

 

舞台上でなにか行動をする前に、

まず日常ではどのように行動するのだろうと考えてみてください。

 

こさべ

 

 

※動画ではさらに「有機的行動」などについて触れています。詳しい内容は動画をご覧ください。

 

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