【特別講座2】演技とはなにか?
こんにちは、こさべです。
今日は「演技とはなにか?」について書いていきます。
それを考える前に、「芸術」について考えましょう。
例えば、あなたの日常に何かが起こって、あなたが何かを感じたとしましょう。
これ自体は芸術ではありません。
ただの体験です。
では、その体験や、そこから感じたことなどを他人と共有しようとしたとしましょう。
「私は、こんな体験をしてこんなことを感じたのだけど、みなさんはどう思う?」
ということを話したりして、他人と共有しようとする。
実は、これが「芸術の始まり」と言われています。
例えば風景画を描く人は、その風景になにかを感じて描いていますよね?
それを展示するという行為は、
「私はこの風景がいいと思うけど、あなたはどう思う?」
と共有しようとする行為だと言えます。
そういう意味で、体験を共有しようとするという意味では
体験を語ることとは通じるものがあるわけです。
さて、ではあなたが体験した話をきいたAさんが、
友達のBさんにその話をしたとします。
体の動きなんかをつけながら
「これは聞いた話なんだけど、こんなことがあってね……」
などとBさんに語ります。
実はこれが「演技の始まり」です。
あなたもきっと日常でやった経験があるんじゃないでしょうか。
つまり、自分が直接体験したわけでもない話を、身体や声を使って表現する。
これが演技の始まりです。
もしあなたの話し方が上手で、あなたの話をきいている人が、
その場に居合わせているかのような感覚になったとしたら、
あなたはもう俳優といえるかもしれません。
さて、演技というのは「創作」された行為ですよね。
一見、実生活のように見える脚本でも、
それはやはり実生活で使われているような行為や言葉の組み合わせでできたものです。
ただの実生活を見せて金をとるわけにはいかないですよね。
なので、きちんと観客が加わっていけるような作品をつくらなければいけません。
ただの「ありのままの私」だけではダメで、
それと同じレベルに見える舞台上でのリアリティをつくらなければいけません。
それが「劇的な私」です。
では、どうすれば「ありのままの私」を「劇的な私」にできるのか?
それを考えたのがロシアの演出家、スタニスラフスキーです。
彼はスタニスラフスキーシステムを構築していきました。
このシステムを使うと、俳優自身の能力を最大限発揮し、能力を管理することができるようになる、と彼は言います。
それはどんなシステムなのか?
システムの大きな考え方は以下の2つです。
・それは「どんな状況」か?
・その状況だとして「身体的にどうしたい」か?
この2つを徹底的に考えていきます。
その具体的な内容は……次回から書いていきます。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
こさべ
※動画ではさらにスタニスラフスキーの経歴などについても触れています。詳しい内容は動画をご覧ください。